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    購入型クラウドファンディングをなぜ日経新聞は根拠もなく主流だと主張するのか?


     この記事で、CAMPFIREがソーシャルレンディングに参入することを紹介した際に2016/11/28の日経新聞の記事を引用しました。

     その前後の部分を今回はもうちょっと長く引用します。

    クラウドファンディングは4種類あり、ソーシャルレンディングは小口の資金を利息付きで融資する「貸し付け型」。国内では金銭などの対価を求めない「寄付型」と投資対象の物品やサービスを受け取る「購入型」が多く、特定のアーティストやボランティアを応援する融資が目立つ。

     キャンプファイヤーは購入型と寄付型を運営し、2016年の調達金額は9億円の見通し。貸し付け型を始めるため、12月に3億5000万円を調達。ライフネット生命保険の創業に関与した著名投資家の谷家衛氏を会長に迎え、貸金業と第2種金融商品取引業の登録を目指す。

     レンディング事業はベンチャーや地方の中小企業に利用を呼びかけ、17年中に1件30万から100万円程度のプロジェクトを約700件立ち上げることを目指す。与信は外部の信用情報機関を利用する。 国内ソーシャルレンディングは資産運用が目的で貸付先は不動産業者が多かった。ベンチャーや中小企業に資金が流れるようになれば、既存の金融機関では対応が難しかった小口の資金需要に応えるサービスとなる。


    となります。下線は私が引きました。


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    1. 以前からおかしかった日経のクラウドファンディグ記事


     「寄付型」と「購入型」が「多く」と書いてありますが、何が「多い」のかは書かれていません。

     私が勝手に推測するならば、両非投資型クラウドファンディングが「多い」のは「案件数」と「マスメディアに対する露出」です。

     それに対して出資者からの募集金額は圧倒的にソーシャルレンディング(貸付・投資型クラウドファンディング)が「多い」ことには何度もこのブログで指摘してきました。

    2016/7/6 ソーシャルレンディング各社、各サービス比較2016年7月期 その1

    2016/9/16 ソーシャルレンディング各社、各サービス比較2016年9月期 その4

     上の2016/7/6の記事は同年7/4の日経新聞のクラウドファンディングに関する記事を非難する内容です。ソーシャルレンディングがそのほとんどを集めたはずの出資者からの募集額が、日経新聞の記事ではあたかも購入型の功績であるかのような文構成になっていたのです。

     下の9/16の記事は同年9/2のクラウドファンディングに関する同紙の記事について一定の評価と謝辞を伝える内容です。

     「圧倒的に投資型の方が募集金額は多い」とまでは、書いてはくれないものの、7/4の記事のような読者に誤解を与える表記がされなかったことについてのものです。加えて「クラウドファンディングについて次回触れるときは、貸付型が募集金額では大きいことについて書いてね!」と祈願する内容です。

    しかし上記、2016/11/28の記事では、上記引用部分にあるとおり、

    国内クラウドファンディングは貸付型よりも、寄付型、購入型が「多い」

     と読者に誤解を与える記述が上記2016/11/28の日経新聞でまたしても行われてしまいました。

     なぜこのような表現をマスメディアはくり返し行なうのでしょうか?なぜ案件数やマスメディアへの露出(情報)は非投資型の方が「多い」けれど、募集金額のおいては圧倒的に「貸付型」が「多い」と書いてくれないのでしょうか?


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    2. 出資者からの募集額は融資型の方が圧倒的に「多い」


     今一度、最新のデータを用いて、ソーシャルレンディング(貸付型)の募集額が購入型よりも「多い」ということを示したいと思います。

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     visualizing.infoの日本の主要クラウドファンディング(13社)における2016年8~11月の支援額は月平均、約3億9千2百万円です(このページを参照)。

     それに対してソーシャルレンディングの同期間における主要18社における募集金額は月平均に直せば約49億4千万円であり、10倍以上の開き(正確には13.6倍)の差があるのです(この集計は私が行っています)。

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    3. マスメディアの幻想とクラウドの現実との乖離


     この圧倒的、客観的な差を無視して、購入型の方が「多い」、「目立つ」と根拠を示さず書けば下記のような美しい光景を読者に焼き付けられるのかもしれません。

     国内アーティストやボランティアを非投資型クラウドファンディングで応援する日本人は、カネ目当てで貸付型に群がる日本人よりもパワーがあるのだ

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     しかしそれは幻想です。visualizing.infoが行っている統計において、購入型クラウドファンディングへの支援額は2016年に入って伸び悩んでいるように見えます。それに対してソーシャルレンディングに対する投資額はぐんぐん伸びているのです(当ブログでずっと集計しています)。

     美しかろうが、美しくなかろうが、投資型のクラウドファンディングの方が非投資型(購入型・寄付型)よりも日本人に受け入れられている。これが事実なのです。


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    4. 正しい情報を読者に伝えているのは誰?


     なお、クラウドファンディング業界で非投資型(購入型・寄付型)を投資型よりも「多い」、「主流」、「受け入れられている」と、誤解を生む形で書くのは日経新聞の専売特許ではないことはお断りしておきます。

    以下記事をご参照ください。

    2015/1/23 非投資型クラウドファンディングは投資型(ソーシャルレンディング)を敵視?①
    (日経ビジネスにおいて、そのように主張されている例を紹介)

    2015/1/27クラウドファンディングは投資型(ソーシャルレンディング)を敵視?③
    (購入型クラウドファンディングに関する書籍において、そのように主張されている例を紹介)

    2015/2/3 非投資型クラウドファンディングは投資型(ソーシャルレンディング)を敵視?④
    (中立なWEBメディアにおいて、そのように主張されている例を紹介)

    2015/2/6 非投資型クラウドファンディングは投資型(ソーシャルレンディング)を敵視?⑤
    (非投資型クラウドファンディング関係が、そのように主張している例を紹介)

    2015/3/23 非投資型クラウドファンディングは投資型(ソーシャルレンディング)を敵視?⑩
    (なぜか寄付型が国内の各種クラウドファンディングで一番規模が大きいと、明らかな間違いがされている、トンデモない例を紹介)

     これだけ、多方面の名だたる人々、マスメディアが非投資型が「主流だ、多い」と連呼しているのに、「いや!その表現には異議があるよ!」と粘着質にほざいているのは、無名、工業大学出身、理系の私だけというのは、もはや喜劇にさえならない気がします。

     そもそも、この人達は非投資型の方が「多い」、「主流」と主張していますが、その根拠を誰一人として示していないのです。上記日経新聞の記事引用部をまずお読みください。何が「多い」のかが示されていません。その他上記リンクで紹介しているメディアも同様です。

    「案件数」、「マスメディアへの露出」というのは上記のとおり、私の推測に過ぎません。
     
     客観的な数字(この場合は募集額)を示して、投資型の方が「多い」と主張しているのはひょっとしなくても、この中で私だけではないのでしょうか?

     なんの根拠もなく非投資型の方が「主流」、「多い」と繰り返し主張している文系マスメディアの人々は、読者からお金をもらっているはずです。それなのに客観的な真実と情報を読者に伝えるという物書きとしての矜持はないのでしょうか?

    もらっていない理系の私にさえあるというのに?


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    5. 家入一真氏の真意を汲み取れない日経記事


    この状況はあまりにも虚しいと私は感じます。

     どのようにしたら非投資型が「投資型」のように日本人に受けいれられるかを、もはや見直す機会ではないでしょうか。上記のようなレトリックを用いて、読者に「多い」と思わせるのはもう止めにして。

     非投資型クラウドファンディングに関わる人の中で、誰よりも早く見直しの必要を感じたからこそ、家入一真氏はCAMPFIREでソーシャルレンディングに参入することを表明したのではないのでしょうか?それなのにそのニュースを報道する日経新聞の記事が、そのことを全く汲み取っていないのでしたら、はっきりいいってそれは悲劇です。

     なぜ貸付型よりも「多い」はずの購入型と寄付型を運営しているはずの、CAMPFIREが貸付型にまで参入しようとしているのか?それは貸付型の方が本当は「多い」からです。案件数でもなく、メディアの露出でもなく、運営者が本当に欲するものにおいて。

     それが記事で読者に伝えられていないのです。知らされていないのです。この悲劇における最大の被害者は読者です。

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