トラストレンディングへの行政処分理由を検討、ただ絶望しかないが所感を、
異例ともいえる2度目のトラストレンディングへの行政処分勧告
2019年2月22日証券取引等監視委員会がトラストレンディングの運営会社エーアイトラスト社に対して行政処分勧告を行いました。
あらかじめリークされていたのか、各メディアも報道を行っています。
エーアイトラスト株式会社に対する検査結果に基づく勧告について(2019/2/22 証券取引等監視委員会)
ソーシャルレンディング業者、取締役に15億円流出 証券取引監視委が勧告(2019/2/22 毎日新聞 片平知宏氏著)
エーアイトラストに2回目の処分勧告 虚偽表示で(2019/2/22 日経新聞)
日経新聞の言葉を借りれば“2度に渡る勧告は極めて異例“とのこと、おそらく一週間後の3/1(金)には処分結果が発表されるでしょうが、厳しい処分が予想されます。
償還されていない出資額は52億円とのこと(トラストレンディングの累計募集額は83億円)。まだ現状遅延案件は出ていませんが、全く楽観視できません。
同社は「(指摘を受けた基金は)利益金の分配や元本償還が行えなくなる状況が予想される。多大な心配と迷惑を掛け、深くおわび申し上げる」とコメントを発表した。
※同社=エーアイトラスト社、上記毎日新聞記事より
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募集ファンドの約36%に何らかの虚偽が!
第1回目の行政処分勧告(2018年12月)で問題(虚偽記載)が指摘されたファンド数は22、今回(2回目、2019年2月)では同54、合計76ファンドです。トラストレンディングのWEBサイトから確認できるファンドは210号までです。
210号まで1号も欠番がないと仮定すると76/210=約36%です。実に全体の3分の1以上のファンドに何らかの虚偽があったことになります。
呆れてものが言えません。
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第1回目と第2回目の処分全容を図式化
第1回目と第2回目の行政処分の概要を図式化してみました。

※クリックすれば大きくなります
わかりにくい行政処分文面をなるべく噛み砕いてまとめていますが、間違いがあればご指摘いただければ幸いです。
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高速道路案件33ファンドの事態は深刻か?
やはり問題なのは高速道路案件(33案件です)。15億7千万円の出資を投資家から受けています。元請け人から融資先(借り入れ人A)が工事を受注した事実はないと指摘されています。
後述するエーアイトラストが起こした訴訟の対象に全案件がなっています。
かなり深刻な事態が予想されます。
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公共事業の依頼元が高速道路の借り入れ人A?
上記高速道路の融資先は証券取引等監視委員会の文面では「借り入れ人A」であると表記されています。なんとこの借り入れ人Aは別途、問題が指摘されている公共事業案件20案件の依頼元(発注元)であるあらしいです。
※第1回目で12案件、第2回目で8案件が問題を指摘された。上記図表参照
これら公共事業案件は訴訟対象になっていませんが、正直不吉な予感しかしません。
上記案件の事業実態があるのかどうか、証券取引等監視委員会の文面からはいまいち読み取れません。
- 「事業への」貸付が行われていない(事業実態がない)
- 「公共事業、大手企業をバックとする事業への」貸付は行われていない(しょぼいが事業実態はある)
のいずれかであるかが、いまいちはっきりしないからです。
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エーアイトラストが損害賠償等請求訴訟を提起
エーアイトラスト社は上記高速道路案件の貸付先(借り入れ人A)への損害賠償等請求訴訟を提起したと発表しました。
15億7千万円の出資に対して16億4千万円(エーアイトラスト社の自己貸付分も含む)、年5%の割合による遅延損害金の支払いを求めています。
早速回収活動に乗り出してくれたこと、エーアイトラストとのセイムボート投資であるらしいことは嬉しい知らせです。しかしこのような訴訟に至ってしまったことは、交渉がこじれていることを示唆しているとも言えます。
勝訴できたとしても、どれだけ投資家への元本償還につながるか自体が疑問です。
全く楽観視できません。
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エーアイトラスト社取締役山本幸雄の解任、法的措置検討
処分勧告と同日、エーアイトラスト社は同社取締役山本幸雄の解任を発表しました。山本がエーアイトラストに紹介したファンド貸付先から、少なくとも15億8千万円が流出したことが処分理由です。
流出先は「山本が実質的に支配する会社」とのことです。
上記15億8千万円は借り入れ人A(高速道路案件の融資先)への出資額15億7千万円とほぼ同額です。すでに損害賠償等請求訴訟も起こされていますが、「山本が実質的に支配する会社」とは融資先Aである可能性があります。
もっともエーアイトラストの発表には「貸付先から流出した」とあるので、やはり融資先Aから山本の会社に流出したとの解釈の方が妥当かと思われます。
トラストレンディングの山本幸雄は調べるだけで色々と出るな https://t.co/YuT2cC4cqN
— tit_QASH (@tit_BTCQASH) 2019年2月22日
tit_QASHさんが指摘しているとおり、山本幸雄はいろいろいわくありげな人物、なぜこんな人物をエーアイトラスト社は役員として迎えてしまったのか?資金の流出を許したのか?
先日、私のインタビューで誇っていただいた内部統制はどうなっているのか?
2018/7/19 スクープ! トラストレンディングが他社へのレンディングシステム提供開始を宣言!内部統制の整備やガバンンス強化のためのコンサルティングも実施!

この山本幸雄なる人物、2018年7月25日時点で私がSSを撮ったエーアイトラスト社WEBサイトの役員構成画面に名前がありません。上記証券取引等監視委員会の発表には「山本は2018年10月に取締役に就任」とあります。
訴訟対象のファンド(借り入れ人Aへ融資)のうち最も古い105号の募集開始は2018年2月、最も新しい138号は2018年4月、借り入れ人Aが発注元である最も新しいファンドである158号の募集が2018年6月です。105~158号のファンド組成の腕前を買われて取締役に抜擢されたということでしょうか?
しかしそれらのファンドがこのように問題を指摘されるようでは目も当てられません。
※1 問題を指摘されていないファンドに山本が貢献した可能性があることは書き手の良心として言及しておきます。
※2 記事初投稿時山本の就任時期を把握しないまま、不正確な情報を記載していたことをお詫びします
エーアイトラスト社からの説明が待たれます。
また、法的措置とはどのようなものか?特別背任による刑事告訴あたりが濃厚ですが、エーアイトラストと山本のプロレスでないのならば、断固とした対応があるものと考えられます。
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金融庁はいい加減になんとか言え!地獄に落ちろ!
仮にも金融商品である投資ファンドで、既存型金融商品のような詳細な説明が求められていたら、上記ずさんな商品紹介、虚偽記載はここまでひどいレベルでは行われなかったでしょう。
すべて金融庁官僚による愚かな匿名化指導がもたらした災厄と私は考えます。金融庁から反省の言葉はなく、また日経新聞をはじめとするマスコミからも追求する報道はありません。
金融庁の自浄作用はなく、またマスコミは情報をもらうために金融庁のイヌであることが、これまで態度、報道姿勢でよくわかりました。この報いは必ずあるでしょう。
※マスコミは金融庁からリークを受けているから、発表当日に上記報道ができるのです。
最後に私事を

現在私がトラストレンディングに投資中なのは190万円、累計配当額は55万5,583円(税引前)です。
その中で証券取引等監視委員会より問題が指摘されたファンドは

136号ファンド(50万円、第2回目の処分勧告)
145号ファンド(50万円、第1回目の処分勧告)
です。合計100万円となります。
136号ファンドは上記訴訟の対象です。もうかなり絶望視しています。全額償還どころか、相当の毀損を覚悟しています。
145号ファンドは訴訟の対象ではありませんが、公共事業の依頼元が「借り入れ人A」であり山本が支配する、あるいは大いに関係がありそうな会社です。全く楽観視できません。
正直、つまらない予想をするのには疲れました。
そのようなことをしても、事業者、あるいは融資先に悪意がある場合、斜め上で予想が外れることはラッキーバンク、みんなのクレジットの例で思い知りました。
あとはせめて、エーアイトラスト社の良心に期待したいと思います。
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2019年1月末時点で以下のサービスで資金を運用中です。
1. maneo
2.AQUSH : 約45万円
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2019-02-23 │ トラストレンディング │ コメント : 6 │ トラックバック : 0 │ Edit