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    ソーシャルレンディング赤裸々日記
    ソーシャルレンディング(投資型クラウドファンディング)の投資履歴から業界の動向、考察まで幅広く手がけています。ぜひご意見、情報がありましたらお寄せください。
    ソーシャルレンディングは地銀とは相容れないライバルなのか?

     金融ジャーナル2017年1月号の連載”地銀のフィンテック戦略「対応の選択肢」 進化へ資本参加や提携なども“において、ソーシャルレンディングについて触れられています。

     そこでソーシャルレンディングとは銀行業務とは「相容れないライバル」であると指摘されています。そのことについて、いろいろと考えてみました。


     この連載は、浜銀総合研究所社長神戸大学経済経営研究所リサーチフェローの伊東眞幸氏が執筆しています。国内でも影響力を増大しつつあるFinTechについて、地方銀行はどのように対応していったらよいのか?を説く内容です。


    1.FinTechの各分野に対して銀行はどのような対応と取るべきか、伊東氏からの提言

    伊東氏の論説ではFinTechは以下のように分類されています。

    ①事業性融資、②決済・送金、③投資・資産運用、④経理支援、⑤個人資産管理、⑥仮想通貨、⑦事業性融資・個人向けローン(ソーシャルレンディング)、⑧資金調達(クラウドファンディング)

    それらに対して、地銀が取るべき対応は6つ挙げられており

    ①自行で新規提供する
    ②新しい考え方や技術を取りいれ、自行の既存サービスを進化させる
    ③当該FinTech企業への資本参加等、強力な関係構築により自行でサービス提供する
    ④蓄積したデーターの将来の有効活用を考え、当該FinTech企業と提携する
    ⑤銀行業務との親和性は低いが、顧客利便性を考え、当該FinTech企業と提携する

    ⑥銀行業とは相容れないためライバルとして注視する

    となっています。

     ソーシャルレンディングとクラウドファンディングに対する、伊東氏の“「個別具体的」な対応”は上記の通り

    ⑥銀行業と相容れないためライバルとして注視する、

    と6つの中では、一番敵対的ともとれる「対応」です。

     ただしこれはたたき台としての伊東氏の考えであり、具体的な対応方針は各地銀でよく検討して、決定すべきものであることは、論説中に明記してあります。

     伊東氏の結論から申し上げてしまいましたが、ここから改めて、この連載について説明したいと思います。この連載は2016年10月号から始まりました。地方銀行関係者にFinTechに対する備えを、連載を通して説くものです。連載初回はFinTechを説明する内容であり、それは当ブログの下記記事で触れています。

    2016/01/05 ソーシャルレンディング各社、各サービス比較2016年10月期 その1-金融ジャーナル2016年10月号でソーシャルレンディングが取り扱われました-

    「FinTechに疎い、年配の地銀関係者に、優しく一から説明します」という内容です。

     その後はFinTechが地銀に与える影響など触れられてきましたが、どのような対応を地銀は取るべきかを、伊東氏がたたき台の形で提言するのがこの2017年1月号における連載4回目です。

    各種FinTechサービスにどのように①~⑥を当てはめるのか?が下の表となります。

    socia201701140101.jpg
    ※C.銀行が提供するサービスの代替となりうるFinTechサービスがソーシャルレンディングを指す

    この表は2016年10月号に掲載された下記表と対応していることがわかります。

    kinyuu2016100401.jpg

     「C:銀行が提供するサービスの代替となりうるサービス」がソーシャルレンディングです。前述のとおりクラウドファンディングと同じく、「⑥銀行業とは相容れないためライバルとして注視する」となっています。

     連載における、ソーシャルレンディングとクラウドファンディングへの対応について述べられた部分を引用します。

    そして、6つ目は「銀行業とは相容れないためライバルとして注視する」という対応である。これは、顧客にとって利便性は高いものの、実質的に、銀行の機能を「代替」させてしまうも恐れのあるものである。具体的にはソーシャルレンディングやクラウドファンディング等であり、ライバルとして注視することになる。

     「注視する」とは辞書通りにとれば、“注意深く見守ること”、“危ないものと判断して警戒すること”です。

     私は銀行業界の専門用語、符丁は存じませんが、ひょっとしたら、「潰してやれ!」、「戦え!」という意味なのかもしれません。

     上記①~⑥の対追撃は上記のとおり、『個別具体的な対応』、『「たたき台」としての筆者の考え』であると伊東氏は述べていらっしゃいます。つまり自分の意見はたたき台、参考であり、銀行は自分たちでよく検討して決定するべきだ、ということです。


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    2. FinTechの各分野に対して銀行が取るべき「基本的な対応」

     「個別的な対応」とは別に「避けては通れない基本的な対応」として、動向把握を行うことを伊東氏は提言しています。特に動向把握においては、FinTech企業が積極的にアプローチする投資ファンドに、ある一定額投資して、直接、定期的に最新情報を取りに行け!と具体的な方法が指南されています。

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     上記の「個別的な対応」は伊東氏のたたき台的な考え方ですが、この「基本的な対応(動向把握)」はどの地銀も行うようにと、強く奨められています。

     各ソーシャルレンディング運営会社が投資ファンドにアプローチしているかどうか私は存じません。しかしその投資ファンドの出資者に銀行関係者が存在するか、どのような立場でいるかについては、「注視」した方がよいのかもしれません。

     伊東氏の影響を受けてソーシャルレンディングを「注視」する方がいらっしゃるかもしれませんので。


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    3.実際には銀行とソーシャルレンディング、クラウドファンディングの提携は進んでいるようだが・・・

     最後に実際に海外と国内では、銀行とソーシャルレンディング、クラウドファンディングはどのような関係を結んでいるか、実際に例を挙げて私の考え方を簡単に述べたいと思います。

     海外においてはソーシャルレンディングに対して業務提携を行っている例もあるようです。米国のソーシャルレンディングサービス、プロスパーにおいては、銀行が業務提携しています。そのことは当ブログの下記記事で間接的に触れています(殺人事件絡みの話ですが)。

    参考
    2016/11/07 ソーシャルレンディング各社、各サービス比較2016年11月期 その2-日経新聞においてソーシャルレンディングに警鐘を鳴らす内容の記事が掲載されました-

     海外はソーシャルレンディングの規模がにほんよりずっと大きいので他にも提携の例はあるでしょう。融資資金を銀行が供給しているという話も聞いたことがあります。

    参考
    2016/02/27 個人投資家がソーシャルレンディングに投資できなくなる日が来るかもしれない

     国内に目を向ければ、ソーシャルレンディングと銀行が業務提携したというニュースは「まだ」私は聞いたことがありません。しかし銀行系VCがmaneoに出資したという話は聞いたことがあります。

    「不動産経済ファンドレビュー2017年1月5・15日合併号」にはmaneoが様々な資本提携をするなかで、銀行系のVCからも出資を受けていることが述べられています。maneoはVCの出資を受ける理由を、

    ①投資審査が厳しいVCの出資を受けること自体が、投資家に対する健全性の証明につながる
    ②融資案件の発掘、投資家層の拡大につながる

    と説明しています。(不動産経済ファンドレビューの該当部分はこのリンクで読めます)

     購入型クラウドファンディングでは銀行との提携はソーシャルレンディングよりずっと進んでいます。

     例えば、2017/1/17放送のガイアの夜明けで購入型クラウドファンディングのMakuakeがみずほ銀行と提携する様子が描かれていました。

    「Makuake」とみずほ銀行、クラウドファンディング案件の相互紹介で提携——クラウドファンディングサイトとメガバンクの連携では国内初(2016/12/9)

    Makuakeは常陽銀行とも提携を発表しました。

    クラウドファンディングの調達額に応じて融資額を決定--「Makuake」と常陽銀行が提携(2017/01/23 CNET JAPAN)

     その他にも、「クラウドファンディグ 銀行 提携」でぐぐれば、いくつもの地銀が購入型クラウドファンディング運営会社と業務提携しているニュースを参照することができます。

     ソーシャルレンディング、クラウドファンディングに対する地銀の対応は伊東氏の提言で「銀行業とは相容れないためライバルとして注視する」が「現実的な対応」として挙げられているのは上記のとおりです。

     さてすでに資本・業務提携した上記銀行の思惑はいかに?です。

    銀行業と相容れないためライバルとして注視する」よりは、銀行とソーシャルレンディング運営サービスは友好的な関係を築いて欲しいと私は思っています。

     「資金の供給を行うことにより、社会を活性化させる」という点で、目的は同じかと思いますので。

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