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    野口悠紀雄氏が指摘するソーシャルレンディングの可能性と問題点、その8~本質的な投資に目を向ける時代では?~

     週刊ダイヤモンドに掲載されている野口悠紀雄氏の連載、「超整理日記」にソーシャルレンディング(以下SL)が取り上げられたことに関する記事の8回目です。前回(7回目)において、既存の投資商品(株式、投資信託、CFD、先物等)に比べて、SLはより本質的な投資であり、社会の活性化につながるのでは?という話をしてみました。

     今回はもうちょっと具体的な例を挙げて、現在行われている株式購入による景気刺激策は意味がないのでは?SLのように直接的に企業にお金を供給したほうが有意義ではないのか?という問題提起をしてみたいと思います。



     前回述べたとおり、私は「投資」という言葉は本来、事業性の高い行動に相応しい(ふさわしい)言葉だと考えています。現在一般投資家(クラウド)が行っている既存の金融商品に対する投資の大半は、事業への直接投資ではなく、単なるお金の奪い合いです。政府は個人の資産を貯蓄から投資に振り向けようと、様々な金融商品における規制緩和を行ってきました。

     しかし国民の資産を鉄火場に突っ込ませることは本当に「投資」なのでしょうか?そもそも国民の資産を増やすことに繋がるのでしょうか?

    参考
    「信用取引」が今年中にも大幅規制緩和!少ない資金でも「デイトレし放題」の時代がくるぞ!(2012/8/9 ダイヤモンドOnline)


     GPIFの年金資産運用において、株式投資への割合を増やしましたが、私から見ると単に鉄火場に国民の年金を突っ込んで、海外のヘッジファンドにお金を貢いだようにしか見えません。その資産を国内の事業資金に直接供給した方が、同じ損失を被るにしても遥かにマシではないのですか?

    参考
    2016/1/24 GPIFの株式購入拡大に反対する(新世紀のビッグブラザーへ 三橋貴明氏ブログ)

     日銀は5年でETFを爆買いして8兆円を保有することになったそうです。この8兆円は株価を一般庶民(クラウド)とは無関係に株価を押し上げたかもしれませんが、その8兆円のいくらぐらいが実際に事業資金として使われたのでしょうか?そしていくらぐらいが国内外の機関投資家に奪われたのでしょうか?

    参考
    ETF爆買いの果て、日銀が日経平均企業9割で実質大株主-試算(2016/04/25 Bloomberg)


     さて、設備投資・人材投資を積極的に行なうETFが2016/5/19に上場しました。日銀が3000億円の購入を約束しているそうです。2016/5/19放送のニュースチェック11(NHK)で、アナウンサーだか、番組に招かれた識者だかは忘れましたが、このETFの上場により、企業経営者は設備投資、賃上げに積極的になれると述べていました。株価が上がるからだそうです。

     だったらその3000億円を努力した(する)企業に供給すればよいではありませんか?ETFに3000億円をつぎ込んで、その結果株価が上がったとして、実際そのうちの幾らが設備投資や賃上げに使われるのでしょうか?機関投資家や賃上げETF販売会社の養分になる割合はどのくらいなのでしょうか?

    参考
    賃上げETFの期待度 似る銘柄、副作用懸念も(2016/5/20 日経新聞)

     上記「供給」と書きましたが、ただでくれてやれとはもちろん申しません。事業の結果利益が出たら元本とリターンはしっかり返してもらうべきでしょう。その点は誤解無いようにお願いします。

     上記政府・GPIF・日銀が行っていることは、いずれも狂っているように私には思えます

     それとも狂っているのは私の方なのでしょうか?

     工業大学出身で、理系で、製造業勤務で金融における学歴・職歴がゼロのパープリンの私だからこそ狂っているように見えるのでしょうか?

     名門大学出身で、(多分)文系で、名だたる金融機関にお勤めで、その方面の誇るべき学歴・職歴を持つ方が行っている、私の目には海外機関投資家に金を貢いでいるようにしか見えない上記の手法の方が、本当は正しいのでしょうか?


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     国内ソーシャルレンディングは従来の投資商品の矛盾点を解消し、クラウド(一般大衆)が融資という形で事業へ直接お金を投資できる全く新たな商品だと私は考えます。

     リターンがお金の奪い合いではなく、直接投資された資金によって生み出されるからです。もちろん問題点は多々あります。その問題の最たるものが投資先の不透明さです。しかしその最大の問題点は規制緩和により、解消することができます、その下地も情報技術の発展により整いつつあると私は考えます。ネットの力は、古い社会では必要だった様々な規制を過去のものにしつつあります。貸金業の規制もその例に漏れないはずです。

     うまくすればSLの発展にともない多くの資金が動くようになります。従来の規制、従来の金融機関には不可能だった、中小企業、ベンチャーへの資金供給が可能となります。これは社会の活性化に必ず繋がるはずです。また、そうした企業に個人投資家に資金を出させるためには、彼らの資金の最大限の保証をするべきで、その点からも「融資」というシステムを用いる国内SLは優れています。

     かつて英国ではサッチャーの金融ビッグバンが英国経済の復活をもたらしました。現在でも英国政府はフィンテックを積極的に後押ししており、それが英国SLサービスであるVirgin Money 、ZOPA、Funding Circleの躍進を生んでいます。

     例えば英国においてSLの収益はISA(少額投資非課税制度)の対象です。上記英国の政策は格差を広げたという負の側面もありますので、そこは慎重になるべきですが、資金供給を大きくするという利点にもっと注目するべきと思います。

     今回はここまでにさせて下さい。次回はSLが実質的な投資であり、実体経済を他の投資よりも活性化できるという私の主張は、野口悠紀雄氏の持論に合致するのでは?ということについて述べたいと思います。

    2016/06/03 野口悠紀雄氏が指摘するソーシャルレンディングの可能性と問題点、その9~規制緩和と直接投資こそが実体経済を動かす希望~

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